新たなLTE機能が魅力!ハイスペックモバイルPC VAIO S11 【2017年秋発表モデル】スペックレビュー
2017年9月21日13:00から、受注を開始した新型のVAIO S11。
今回のモデルでは、デザインを一新したことに加えて、以前から情報が入っていましたが、「LTE」の性能が向上しているという点に注目です。
LTEの性能向上や、改良された点で、今までよりも「持ち運びたくなる」パソコンとして約1年9カ月ぶりのモデルチェンジです。
今回の記事では、新VAIO S11のスペックを個人的な見解も含めて、レビューしていきます。
目次
前回のモデルからのスペック変更点
まずは、前VAIO S11と新VAIO S11のスペック変更点をまとめてみました。
(*1)発売当時の価格です。
また太字(赤)表記は変更点です。
上記が前VAIO S11(右項目)と比べて、新VAIO S11(左項目)の変更点になります。
それぞれチェックしていきますが、約1年9カ月ぶりのモデルチェンジのため、変更点は多いです。
CPUは第7世代プロセッサーを選択可能に
前回のモデルでは、第6世代プロセッサー(Skylake)を選択していましたが、今回のモデルからは、第7世代プロセッサー(Kaby Lake)を選択可能になりました。
インテルのCPU開発
VAIOをはじめ、パソコンに搭載されるプロセッサーといったら「Intel」です。
ノートパソコンでは、IntelのCore iシリーズが搭載されているものがほとんどです。
CPUの性能を向上させるとはどういうことか?
CPUは、同じ面積の基盤の上により多くのトランジスタを配置できるようになれば高性能化されます。
指標はプロセスルールと呼ばれる数値です。
プロセスルールは最小加工寸法を表しています。
厳密には違うようなのですが、難しそうだったのでそういう風に理解しています。
加工の単位が小さくなればなるほどたくさん敷き詰められるようになるので、性能が向上するわけです。
ちなみに「Skylake」のプロセスルールは14nm。ミリではなくナノメートルです!
nm(ナノメートル)はmm(ミリメートル)の下のµm(マイクロメートル)の下の単位です。
メートルに直すと、0.000 000 001mです。
IntelのTICK-TOCK戦略
Intelの開発スケジュールは、時計の針になぞらえてTICK-TOCK(チクタク)と呼ばれています。
TICKでプロセスルールを微細化し性能向上、TOCKで最適化などによって性能向上という風に進んできたわけです。
現在の14nmは第5世代「Broadwell(ブロードウェル)」から導入されたため、第6世代「Skylake」は「TOCK」に当たります。
とすると、次はTICKなので、プロセスルールの微細化が行われると思いきや、第7世代「Kaby Lake」も14nmのままとなりました。
微細化もそろそろ限界が近いと言われていて「TICK TOCK TOCK」と3ステップ(もしくはそれ以上)での開発に変更となったわけです。
開発中の第8(?)世代「Cannonlake」でプロセスルールが10nmになる予定のようです。
Intel Core iシリーズの開発スケジュール
登場年 | TICK-TOCK | プロセスルール | 世代 | マイクロアーキテクチャー |
---|---|---|---|---|
~2010年 | TICK | 45nm,32nm | 第1世代 | Nehalem |
2011年1月ごろ | TOCK | 32nm | 第2世代 | Sandy Bridge |
2012年4月ごろ | TICK | 22nm | 第3世代 | Ivy Bridge |
2013年6月ごろ | TOCK | 22nm | 第4世代 | Haswell |
2015年1月ごろ | TICK | 14nm | 第5世代 | Broadwell |
2015年9月ごろ | TOCK | 14nm | 第6世代 | Skylake |
2016年8月ごろ(*1) | TOCK | 14nm | 第7世代 | Kaby Lake |
2017年年末(?) | TICK | 10nm | 第8世代 | Cannonlake |
(*1)Uプロセッサー(超低消費電力版),Yプロセッサー(極低消費電力版)のみ。デスクトップ向けなどは2017年1月発表とのこと。
Intel、Kaby Lakeこと第7世代Coreプロセッサを正式発表 ~Skylakeからビデオエンジンが強化 - PC Watch
おおよそ1年に1度モデルチェンジが行われており、だいたい2年に1度くらいのペースでプロセスルールが微細化されていたのがわかります。
CPUは以前にも増して高性能CPUを選択可能
今回のモデルから、第7世代プロセッサーを搭載できるようになったことで、CPUのクロック周波数などが以前よりも向上しています。
新VAIO S11で搭載できるもので最大2.7GHz(ターボブースト利用で、最大3.5GHz)の高性能CPUを選択できます。
プロセッサー名 | インテル® Core i7-7500U プロセッサー | インテル® Core i5-7200U プロセッサー | インテル® Core i3-7100U プロセッサー | インテル® Celeron プロセッサー 3865U |
---|---|---|---|---|
動作周波数(クロック周波数) | 2.7GHz (ターボブースト利用時:最大3.5GHz) |
2.5GHz (ターボブースト利用時:最大3.1GHz) |
2.4GHz (ターボブースト非搭載) |
1.8GHz (ターボブースト非搭載) |
コア数 | 2コア | 2コア | 2コア | 2コア |
スレッド数 | 4 | 4 | 4 | 4 |
最大TDP | 15W | 15W | 15W | 15W |
3次キャッシュメモリー | 4MB | 3MB | 3MB | 2MB |
グラフィックアクセラレーター | インテルHD グラフィックス620 | インテルHD グラフィックス620 | インテルHD グラフィックス620 | インテルHD グラフィックス610 |
特徴として、4つ選択できるCPUの中で、上位2つはターボブーストを使うことで高クロック周波数を叩き出すことができるようになっています。
モバイルPCとは言え、玄人向け(動画編集など)の処理でも安定した動作を実現しています。
(4K動画編集では、4コアプロセッサーが望ましいですが。)
またグラフィックスは今まで通り、統合型でそれぞれ搭載されています。
モバイルPCなので、主は持ち運び時にオフィスを使ったり、インターネットを使ったりということが多いと思います。
こういったことには、十分に対応できる性能を持ったCPUです。
上位2つのCPUなら、軽作業だけでなく、動的なもの(動画編集や画像編集)の処理でも対応することはできるでしょう。
ちなみに、前VAIO S11の第6世代から比較をすると、約12%ほど性能が向上しています。
クロック数は基本的な計算能力を示しています。
数字が大きいほうが計算能力が高い、つまり処理速度が早いです。
超高速な記憶領域の事をキャッシュと言います。
キャッシュのイメージとしては、人間でいうところの短期記憶です。
頭の中ですべて処理できれば早いのと同じで、キャッシュが多ければ処理速度も上がります。
VAIO S11に搭載できるCPUは、どれもコア数が2でスレッド数が4です。
CPUを事務所に例えると、作業する人数に相当するのがコア数。
事務所で同時に行える作業数がスレッド数になります。
Core i3-6100U事務所には2人いて、4つの仕事を同時進行できます。
Core i5-6200U事務所には2人いて、4つの仕事を同時進行できます。
Core i7-6500U事務所には2人いて、4つの仕事を同時進行できます。
例えば、4コアプロセッサーの場合はコアが4つでスレッド数が8です。
4コアのようにパワーがあるCPUは発熱量が大きく、ある程度本体に大きさがないと発熱対策ができません。
VAIO S11のようにコンパクトな本体では、CPUを搭載するにも工夫が必要なんです。
11.6インチ~13.3インチのノートパソコンでは、Core i7-7500Uはかなり上位のCPUです。
メモリーには16GB(オンボード)が新しく追加されました
前VAIO S11では、最大で8GBメモリーまでしか搭載できませんでしたが、新VAIO S11では16GBメモリーを選択し、搭載できるようになりました。
もちろん、メモリーを多く載せれるので、作業効率はより向上します。
インターネットブラウザのタブを多く起動して作業したり、ソフトを多く起動させていたりしても、サクサクと動いてくれます。
第三世代ハイスピードプロSSDを搭載できるようになりました
昨年2016年の11月15日にVAIO Zに搭載され、そのアクセスの速さで話題を呼んだ「第三世代ハイスピードプロSSD」が新VAIO S11でも搭載できるようになりました。
第三世代ハイスピードプロSSDは、通常のSSD(SATA)に比べると、読み込みで約6倍、書き込みで約3倍も高速になると言われています。
それは、どこにでも持ち運びを目指したVAIO S11ではとても相性が良くて、至るところで求められる高速な処理を余裕でこなしてしまうことができます。
さらに先ほどの16GBメモリーとの相性も良く、動作の超高速化を実現できます。
容量も最大で1TBまで選択できるので、モバイルシーンだけでなく、メインのPCとしても使える性能に向上しています。
それにしても、なぜ第三世代ハイスピードプロSSDはそんなに高速なのか?
LTEはより使いやすく進化しました
前VAIO S11でも「LTE」は搭載されていましたが、新VAIO S11でも継承されています。
しかも、ただ継承されただけでなく、より使いやすく進化して搭載されています。
LTEは内臓されていて、今まで通りにフリーSIMカードを挿入しネットワークを行なうということは変わりませんが、注目なのは「Windows10 データプラン」に新VAIO S11は対応し始めたというところです。
Windows10 データプランとは?
従来のフリーSIMカードでは、各キャリアで契約を交わして、契約内容に応じたインターネットサービスを受けていたと思います。
月の料金が定額で、使用データ量がある一定まで到達すると通信速度に制限が掛かる。
そういった流れは、メジャーだったと思います。
しかし新VAIO S11で対応する「Windows10 データプラン」は簡単に言うと、「プリペイド式」と表現すれば分かりやすいと思います。
プリペイド式なので、データ通信を行いたいときに、必要なデータ分を購入して使うということです。
毎月使う量がバラバラでも金額は一定金額払っているなどの場合には、使った分だけ支払いをするということで節約などに、つながります。
またこのデータプランはWindows10が提供しているサービスなので、面倒なインストールや設定も不要なのが、使いやすい点でもあります。
本体を購入時に同梱されるSIMカードをLTEスロットに挿入しているだけで、サービスを利用可能です。
もちろん元々キャリアを通じて契約されたフリーSIMカードもmicroSIMカードであれば挿入し使うこともできます。
LTEスロットには、新VAIO S11からカバーも付いたのでホコリやゴミから防御もできて、さらに紛失もしないように考慮されています。
↓ VAIO社の専用ページです。
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インターフェースには"HDMI"が搭載されました
前VAIO S11では、搭載されていなかった「HDMI出力端子」が新VAIO S11で搭載されるようになりました。
正確には、前VAIO S11でもHDMIは対応させることはできました。
前VAIO S11は「USB3.1 Type-C」と呼ばれる次世代規格で可能にしていました。
このように、USB3.1 Type-Cに対応したハブを用いることで、周辺機器を増設するというイメージでした。
この規格を用いたことで便利な点は、ケーブル1本を抜き差しするだけで、自宅で使うときと持ち運びするときを簡単に切り替えられるということです。
本体に接続したケーブルは多ければ多いほど抜き差しが面倒になったりします。
USB3.1 Type-Cでは、そういった拡張性はかなり広かったと思います。
しかし新VAIO S11ではそのUSB3.1 Type-Cを廃止して、代わりにHDMI出力端子を搭載しています。
これは、プレゼンなどに意識を高めたことだと個人的には思います。
実際にVAIO S11のサイズなら最適なモバイルPCですが、出先でHDMI互換しかない状況になったときに、USB3.1 Type-Cでは、対応ハブを持ち運ばなければなりませんよね。
HDMI出力をするのが大変でしたので、思い切って搭載させたのではないかと思っています。
USB3.1 Type-Cでは、対応した周辺機器なども購入しなければなりませんし、現状では少しマニアックなのかもしれません。
それに比べるとHDMI出力端子とUSB3.0をメインにしたことでシンプルで使いやすさにもつながるとも思います。
↓ USB Type-Cの関連記事を過去作成していましたが、予想は当たったんですかね?(笑)
指紋認証による高いセキュリティー機能
新VAIO S11では、指紋認証を新しく搭載しています。
セキュリティー性を高めることと、指紋認証による即起動を行えるのは近未来的で個人的にはそそられます。
見た目的にも、The指紋認証といったものでなくタッチパッド風にさりげなく搭載されているので問題ありません。
前のVAIO S11よりも軽くて薄い!!
発売時期 | 2017年9月発売モデル | 2015年12月発売モデル |
---|---|---|
重量 | 約840g | 約920g |
外形寸法(mm) | 幅 283.4 高さ 15.0~17.9 奥行 195.5 |
幅 284.0 高さ 16.4~19.1 奥行 190.4 |
新VAIO S11は、前VAIO S11よりも軽量になり、最薄部も約1.4mm薄くなっていました。
ちなみに、前VAIO S11でもかなり軽量で極薄でしたが、それよりも軽くて薄いとは・・・。
本当に無駄な部分を削っているのは間違いないようです。
キーボード面を一枚物へ変更したことなども要因になると思いますが、デザインが前VAIO S11とは異なっているので、そのことが今回の更なる軽量化・薄型化に繋がっているんですね。
幅と奥行きの面積は新VAIO S11の方が大きいのに対して、軽量化したというのは凄いですね。
こういう細かな部分が持ち運びやすさを高めてくれるポイントになっていますね。
「新VAIO S11を購入する!」前の注意点
個人的に、モバイルPCが欲しいのでとても魅力的になったVAIO S11ですが、2017年9月発表された時点での注意点があります。
今回のVAIO S11では、LTEの使い勝手が大きく向上しました。
やはりLTEを使いこなしたいと思っている方も多いと思います。
ですが、ソニーストアで購入できるVAIO S11は「LTE搭載モデル」「LTE非搭載モデル」それぞれに分かれています。
LTE非搭載モデルは2017年9月現在では選択することはできますが、LTE搭載モデルは2017年10月27日(金)から発売になりますので、ご注意を!
※2017年10月に入り、LTE搭載モデルも選択可能になりました。
受注は行っているものの、お届けは2017年10月27日(金)になります。
最短でVAIO S11 LTE搭載モデルを入手したい場合は、今から注文しておくのもいいと思います。
まとめ
今回は、新しくなったVAIO S11のスペックについてまとめました。
個人的に思ったことは、スペックの選択肢がすごく充実したことと、よりモバイルに特化したサイズや性能だと思いました。
モバイルPCとしては、高性能すぎるCPUやストレージも選択可能になったことで、仕事での色んな場面で頼りになるパソコンなのは間違いないです。
また、以前のS11でもコンパクトでしたが、新VAIO S11はさらなるコンパクト化にも成功した点も、持ち運びの効率を考えると大きい進化です。
VAIOの中で「本物のモバイルPC」を求めるなら、VAIO S11は最適なマシンに仕上がっていました。
VAIO S11 (VJS1121) 商品について
VAIO S11は上記の4色(ブラック / シルバー / ホワイト / ブラウン)から選択できます。
ソニーストアでは、いつも通りオーダーメイド形式になっていますので、パーツ内容を選択し、購入してください。
LTE搭載モデル希望の方は、10月27日以降のお届けです!
VAIO S11は2017年9月に新モデル(2017年秋モデル)が発表されました。これまでのS11を強化し「新たなLTE」を搭載した話題のモデルになっています。最新モデルはソニーストアで販売中。
2017/10/03
VAIO S11は2017年9月に新モデル(2017年秋モデル)が発表されました。これまでのS11を強化し「新たなLTE」を搭載した話題のモデルになっています。最新モデルはソニーストアで販売中。